[2000.12.03]
  魔笛は吹くや


 ▼Opera to fan the browser-war flames(ZDNet News)【英語】
  http://www.zdnet.com/zdnn/stories/news/0,4586,2659780,00.html


 IEという名の,夜の女王の森に迷い込む。救い出してくれた夜の女王の言葉から,女王の娘を略奪したザラストロの成敗に向かう…。だが,慣れてしまっていて気付かなかったが,ザラストロのもと,真の悪たる夜の女王を知り,試練に耐え,その悪を討ちに赴く。魔笛は吹くや,戦いの士に。

 来週,オペラ社は無料バージョンのウインドウズ用ブラウザ「オペラ5」をリリースするようだ。この無料バージョンは広告でサポートされる。オペラ社では,11月22日にビーOS用バージョン3.62と,リナックス用バージョン3をリリース。マック版はまだアルファ版だが,PPCと68K,マックOS Xをサポートする。EPOC用はバージョン3.62が出荷されている。

 そんな早く出すこともなかったのにとも云われるネットスケープ6は(CNET Japanの記事),日本語マック版もリリースされた(ftp.netscape.com)。それにしてもIEの普及はさらに広がっているようで(ZDNet Newsの記事),シェアは88.84%という。ネットスケープが11.13%,その他が0.03%というのは,ちょっと偏り過ぎな調査結果だが,全体的な傾向としては間違っていないのだろう。ウインドウズとマックだけしかサポートしない会社が,そんなシェアを持つこと自体,由々しきことではあるのだが。

 ようは惚れるより慣れろという感じでIEは幅を利かせた。そして,実際慣れるほうが効果が高い(^_^;)。OSという,慣れさせる手はずを持っているという時点ですでに勝ちなんだから,まともに戦いを挑むのは無謀であることの方が多い。だが,なんにつけ,善悪の基準なくして慣れてしまうのは駄目なことだ。オペラ「魔笛」では,王子が夜の女王を信じて悪たるザラストロのもとへ赴き,そして高僧であるザラストロを知り,夜の女王こそ絶対悪であることを確信する。1幕と2幕で善と悪が逆転するストーリーは,矛盾ととられることもあるほどだ。オペラ社を善という気もないし,MSを悪という気も面倒なのでない。だが,ユーザーは自分の判断を持つべきだ。判断を慣れに任せるのは,子供でもできる。まだまだ先に続くブラウザの開発ストーリーは,1幕とて終わっていないのだし。


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